爬虫類皮革の代表的なものがワニ革です。現在、世界中に生息しているワニは、3科9属23種と言われています。アリゲーター科は、4属7種、クロコダイル科4属15種、ガビアル科1属1種からなりますが、ガビアル科をクロコダイル科に含める学者も多くいます。高級感・デザインなどが豊富な「肚ワニ」とワイルドな独特のコブがある「背ワニ」があります。
スモールクロコ
Saltwater Crocodile (商業名)
一般和名: イリエワニ
学術名: Crocodylus porosus
特徴
ワニ革の代表格です。ヨーロッパでは、ポロサスとも呼ばれています。腹部の四角形(長方彩) をした鱗が美麗に揃ったスモールスケールタイプクロコダイルは、ワニ革の中でも最高級品です。腹の部分の頸から肛門にかけて、鱗の横列の数が約31~35列あります。又、横腹の部分は、丸い形状の鱗です。
主な用途
高級なハンドバッグ、小物、ベルト等に使用されます。
生態や生息地
オーストラリア、パプアニューギニア、インドネシア、マレーシアなどの入江や河川の海水と淡水との混じる場所です。現在では、生産量のほとんどが養殖になりつつあり、原皮は、主にヨーロッパ、日本、シンガポールへ輸出されています。
革のイメージ
ラージクロコ
Freshwater Crocodile (商業名)
一般和名: ニューギニアワニ
学術名: Crocodylus novaeguineae
特徴
日本で古くから広く使用されているワニ革です。腹部の鱗は正方形に近く、鱗の大きさは、スモールスケールタイプより大きく、頸から肛門までの鱗の横列の数は約24~32列あります。
主な用途
ハンドパッグ、ベルト、時計バンド、小物類等です。
生態や生息地
パブアニューギニア、インドネシアなどの淡水の沼や川です。この皮の多くは、野生のもので、主に日本やシンガポールに輸出されています。
革のイメージ
ナイルクロコ
Nile Crocodile (商業名)
一般和名: ナイルワニ
学術名: Crocodylus niloticus
特徴
イリエワニ、ニューギニアワニ同様、高級品用の素材として注目を得ています。腹部の鱗は細かく、長方形の鱗板が腹部全体に整然と並んでいます。横腹の鱗は丸みのある長方形で、その巾は他の種類より狭いのが特徴です。
主な用途
ハンドバッグ、小物、ベルト、時計バンド等です。
生態や生息地
この種は、アフリカ諸国の淡水の沼や河川に生息していますが、現在供給されている皮は、ほとんど養殖のもので、特にジンバブエ、南アフリカでは大規模ファームで養殖生産されています。主な輸出先は、ヨーロッパ、シンガポール、日本です。
革のイメージ
シャムワニ
Siamese Crocodile (商業名)
一般和名: シャムワニ
学術名: Crocodylus siamensis
特徴
ポピュラーなワニ革のひとつです。腹部の鱗の形状は長方形で、イリエワニに似ていますが、それよりやや大きめです。頸から肛門にかけての鱗の横列の数は約30~34列です。又、横腹の部分の鱗は、丸みのある形状をしています。
主な用途
ハンドバッグ、小物、ベルト等です。
生態や生息地
タイ、ミャンマー、マレーシアなどの沼地や河川ですが、現在、商取引されている皮は、全て養殖によるもので、ほとんどタイ、ベトナムから輸出されています。輸出先は、日本、シンガポールなどです。
革のイメージ
アリゲーター
American Alligator (商業名)
一般和名: ミシシッピーワニ
学術名: Alligator mississippiensis
特徴
ミシシッピーワニは全体に胴が長く、腹部の鱗の形状はクロコダイルに比べ、やや長めの長方形をしています。頸から肛門までの鱗の横列数は29~34列あります。
主な用途
腹部を利用してハンドバッグ、小物、ベルト、時計バンド等ですが、背部の凹凸の特徴を生かした革(肚ワニに対し、背ワニと呼ぶ)は、アメリカでカウボーイブーツ用として人気を得ています。
生態や生息地
アメリカ合衆国南部のルイジアナ州、フロリダ州などの沼や河川が中心です。養殖事業は、ルイジアナ州を中心に、時計バンド用に大規模に行われていますが、野生のものも毎年数量を定めて捕獲が許可されています。アメリカ国内でも鞣されていますが、原皮は、ヨーロッパ、シンガポール、日本へ輸出されています。